偶然から生まれた 麟 -Lin- の煌めき
2016年の有田焼創業400年事業を機に開発した「麟 -Lin-」は、今や金照堂の主力商品ブランドへと成長しました。「世界に通じる有田焼を」と開発に迫られていた当時、たまたまテレビで見た「カラフルな南部鉄器がパリで人気」というニュースに触発され、同じく伝統工芸品である有田焼にも「金属のようなテクスチャーと海外で好まれる色彩を施しては?」と発想したのが始まりです。
History of Arita
有田焼の歴史
今から約400年前、日本で初めての白い磁器が、九州の北西部、佐賀県有田の地で誕生しました。朝鮮渡来の李参平(金ヶ江参兵衛)によるものと伝えられています。 数十年後には、長崎からオランダ東インド会社を通じ、「IMARI」の名で、海外への輸出が始まります。柿右衛門や古伊萬里は欧州の王侯貴族に愛され、彼らの生活を彩ります。この「IMARI」はマイセンなど欧州磁器誕生のきっかけともなりました。 江戸時代、幾多の変遷を経ながら発展してきた有田焼は、今から約150年前の幕末、鍋島藩によってパリ万博へ出品されます。そこで人気を博した有田焼はグランプリを獲得。これを嚆矢として、欧米の万国博覧会へ積極的に出品し、再び、明治期に黄金時代を迎えます。 そして、2016年の創業400年を機に、有田焼は再び世界へ飛躍しようと新しい挑戦を始めています。
The birth of Lin collection
「麟(Lin)」シリーズ 誕生
そのとき私はかなり焦っていました。「有田焼創業400年は間近に迫っているのに、なにも売りになる商品ができていない」と。そんなときに、たまたまテレビで見た「南部鉄瓶が海外で大人気」とのニュース。「なにか有田焼でも海外で勝負できる焼き物ができないものか」と考え、すぐに行動に移しました。いろんな人が惜しみなく協力してくれ、試作を幾度も重ねた結果、今まで見たこともなかった磁器、「麟( Lin)」が誕生しました。「麟」の名前は、金属的な音の響きと、明治から昭和にかけて活躍した有田焼の赤絵師「金子麟蔵」から一字をもらいました。彼は品評会で何度も1等を受賞するなど、卓越した職人技と先見性に富んだデザインで金照堂の礎を築きました。「麟( Lin)」はわが先祖「麟蔵」へのオマージュを込めたブランドなのです。
Scenery in
our kiln studio
窯場の風景
「麟(Lin)」シリーズは有田の窯元によってひとつひとつ、大切に作られています。400年の間、営々と続いてきた有田焼の技の積み重ねの上に成り立っています。「古伊萬里や柿右衛門、鍋島があったからこそできた」といえます。「麟 (Lin)」は有田でなければ生まれなかったブランドかもしれません。
Craftsmanship
職人の技
とても磁器とは思えないメタリック感。独特のテクスチャー。見る角度で色を変える幻想的なカラーリングは、いくつもの試行錯誤の上にできあがった、ひとつの到着点。しかし、その製作プロセスは伝統技法そのもの。長年培ってきた赤絵職人の技が、クセの強い素材を生かします。